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江戸名所図会 飛鳥山
歌川広重画 弘化ごろ(1844−48)
財団法人 味の素食の文化センター所蔵
右上の枠内は飛鳥山の由来の文章。
右手前には重箱、折詰のほかに酒の燗をする道具、徳利、茶碗、急須などがあります。
 桜の花をめでる花見は、豊臣秀吉の吉野の花見(1594)や、醍醐の花見(1598)など、桃山時代から盛んでしたが、江戸時代には庶民生活に欠かせない行事になりました。
 
江戸の桜の名所は、初めは上野でしたが、8代将軍吉宗が庶民の行楽のために、飛鳥山、品川の御殿山、隅田川堤、小金井堤などに桜を植えて花見の名所としました。
 
 中でも王子の飛鳥山には、享保5、6年(1720、21)に、多くの桜の苗木を江戸城内から移植したので、苗木の成長と共に上野をしのぐ花見の名所となりました。
 
当時の桜の品種は、山桜や江戸彼岸が主でしたが、現在の桜の大半は明治以後に全国に広まった染井吉野ですから、花の眺めにも移り変わりがあるようです。
 花見には弁当が付き物で、落語には「長屋の花見」があり、酒は番茶で、かまぼこは大根の漬物で、玉子焼はたくあんで代用する話です。一方で『料理早指南』(1801)には、豪華な花見の重詰の作り方が記されています。
 重詰の料理は上中下の3種類がありますが、上の部は次のようなものです。
一の重 かすてら玉子 わたかまぼこ わか鮎色付焼 むつの子 早竹の子旨煮
早わらび 打ぎんなん 長ひじき 春がすみ(寄物)
二の重 蒸かれい 桜鯛 干大根 甘露梅
三の重 ひらめとさよりの刺身に、しらがうどとわかめを添え、赤酢みそを敷く
四の重 小倉野きんとん 紅梅餅 椿餅 薄皮餅 かるかん
割籠(わりご) 焼飯(焼むすび) よめな つくし かや小口の浸物
注 1)  “わたかまぼこ”はアワビの青わたを入れて作ったかまぼこ
注 2)  ”割籠”は中に仕切りのある木製弁当箱
 監修・著 松下幸子千葉大学名誉教授
>>松下教授プロフィール
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