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 江戸時代は砂糖が高価だったので、甘い果物は水菓子として喜ばれましたが、野菜類の中でも西瓜や真桑瓜(まくわうり)は水菓子として扱われて人気がありました。
 
これらの瓜類を歌舞伎役者に見立てて品定めをした『評判瓜のつる』という本が、明和8年(1771)に刊行されています。評判記としては珍しいものなのでご紹介しましょう。
 この本の巻頭には、上の図のように13種類の瓜を役者に見立てた位付(くらいづけ)があります。『歌舞伎事典』によると、役者の位付はおよそ次のようなものです。
 
 位付は役者評判記の技芸評価の等級で、貞享年間(1684−8)に役者ごとに<上上吉><上><中>の3段階に位付をしたのが初まりで、元禄年間(1688−1704)には<上上吉><上上><上><中の上><中>の5段階になり、その後<中の上上>が加わり、また文字の一部または全体を白抜きにして、その位にやや不足があることを示すようになりました。<上上吉>の上に<大><真><極>などが加わるとさらに上位を示します。
 上の図では最高が<大極上上吉>の白瓜で、<大上上吉>が山瓜と姫瓜、一部が白抜きの<上上吉>が、真桑瓜、胡瓜、西瓜、南瓜、糸瓜、賀茂瓜、本田瓜と続き、丸漬は吉の一部が欠けています。次が<上上>の烏瓜で、最後の<巻軸真上上吉>の夕顔も最高位を示します。
 当時の役者では白瓜の松本幸四郎(四世)、夕顔の中村少長(二世中村七三郎)の評価が高く、山瓜の市川團蔵(三世)、姫瓜の尾上菊五郎(初世)がこれに続いています。
 なお、評判記の本文には、頭取(とうどり)、贔屓(ひいき)、悪口(わるくち)などが登場して、それぞれの立場から瓜と役者の評価をしています。
 監修・著 松下幸子千葉大学名誉教授
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