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NO.5で、『守貞漫稿』記載の幕の内弁当を紹介しましたが、左図に見られる万久の幕の内弁当は、それと違ったものに見えます。
万久についてはNO.5の(注)に記しましたが現在の人形町あたりにあった料理屋で、幕の内弁当の販売などもして繁盛していました。
中央の人物は「ひげの意休(いきゅう)」で、「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」に登場する助六の敵役です。
 復元「東都高名会席盡」共文社刊  46「万久」
 蔀一義氏所蔵
 
  VOL.1としての“芝居と食べ物”の連載は今回で終わり、次回からはVOL.2として“江戸の美味探訪”を連載します。そこで今回は“芝居と食べ物”に関連して、読者の方々に教えていただきたいことをまとめました。ご連絡いただけたら嬉しいと思います。
 
1) 芝居そのものについては広く研究されて文献も多いのですが、芝居を見物する人たちが、何をどのように食べていたかについては、些細なことなので資料が僅かしか見当たりません。お心当たりがありましたらご教示をお願いいたします。
2) 芝居見物で食べる菓子・弁当・すしを “かべす” と略称しますが、このすしはどんなすしだったのでしょうか。『すしの美味しい話』(中山幹著)には、日本橋の吉野鮨3代目吉野氏の話として「昔の握り鮨はシャリの握り方が固く、タネには味付けがしてあって、両端は鮨の下面まで巻き込んで、シャリとしっかりくっついていた。そして“かべす”のすしには箸でなく長い楊子が添えてあり、芝居を見ながら鮨を楊子でさして食べた」とあります。なお『守貞漫稿』(1853)にある握り鮨の絵は現在のものと同じようです。
3) 現在、握りずしを数えるのに1個を1貫とよびますが『すしの事典』(日比野光敏著)には、語源は不明で、それ程古い呼称ではないらしいとあります。語源についてご存知でしたらお教えください。
 監修・著 松下幸子千葉大学名誉教授
>>松下教授プロフィール
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