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 江戸芝居三階の図 歌川豊国画 享和(1801-04)ごろ
 「たばこと塩の博物館」所蔵
 上の絵には「江戸芝居三階の図」とありますが、芝居小屋の楽屋の三階には、中級の立役の大部屋、上級の立役の部屋、座頭の部屋があり、大部屋は稽古や集会にも使われていました。
 
 絵の中の人物で役者名がわかるのは、右端の黒羽織の人が三代目澤村宗十郎、その左が澤村東蔵、その手前の足付きのグラスを持っているのが初代市川男女蔵です。
 中央部分の上下
(かみしも)姿が三代目坂東三津五郎、左手4人のうち浴衣(ゆかた)で立っているのが五代目松本幸四郎です。(この部分は専門家のご教示によります)
 手前の丸い盆の上には、大皿と深鉢と蓋をした鍋があります。鍋はNO.47とNO.48の錦絵にあった鍋料理の鍋と同じようにみえますが、盆の上に置かれていて熱源はありません。調理場で作って楽屋に運んできたものでしょうか。
 盆の左手にある注ぎ口と蓋のある円筒形の器は、酒をあたためるのに使う銅や錫(すず)製の酒器でチロリというものです。
 江戸時代には酒の燗
(かん)をする器には、多くは銅製で注ぎ口、蓋、つるのついた燗鍋もありましたが、直火にかけるので沸騰する危険があり、湯であたためるチロリが使われるようになりました。
 
磁器製の燗徳利がつかわれるようになったのは、文政年間(1818〜30)からといいます。
 また盆の上には盃はなく、ぐい飲みが二つ置かれています。
 監修・著 松下幸子千葉大学名誉教授
>>松下教授プロフィール
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